170908

●瀬戸内で撮った写真②

●2日目(8/27)。宿の近くを散歩し、まずは三分一博志設計の「直島ホール」へ。

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f:id:o_tkhr:20170907162656j:plain2017年度の日本建築学会賞(年に数点選ばれる、日本ではおそらく最も権威のある建築賞)を受賞した建物。スポーツや催しが可能なホールと、町民が自由に使える集会所、そして庭の三点で構成されている。三分一さんは、風や水、太陽のような「動く素材」を操る建築家である。三分一さんはこの場所に3年近く通いつめ、風の方向や性質を完全に把握した上で、建物に「風穴」と呼ばれる機構を設けた。写真をみてもわかるけど、屋根にぽっかりと開いている穴がそう。この穴に直島の卓越風が通り抜けることで、内部と外部に圧力差が生じる。その圧力差により、室内の熱気は引き上げられ、地下のピットから、夏は涼しく冬は温かい空気が恒常的に舞い込む。環境の特性を読み込み、そこにフィットする形態と工学的なアイデアを重ね合わせることで、空調設備を一切使用せずとも、快適な内部環境を獲得することができる。直島そのもののポテンシャルが、そのまま空間化されたような建築。

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木の部分はすべて化粧材で、ストラクチャーは鉄骨なんだろうけど、パっと見たくらいでは力学の流れが謎で、構造や建設方法が簡単にはイメージできない(それくらい細部の処理が洗煉されている)。それが結果として、「この空間すごい!」というような、空間のもつ魔術的な力、イリュージョンへとつながっている。一見してわからないということ。あるいは、今まで見たことがないということ。そういう、建築における「謎」や「ミステリー」は、力強く、美しい空間つくる鍵である。それは、寺社仏閣や教会みたいな宗教建築がわかりやすい例だけど、古代建築から現代建築まで、人類が時代を通して洗練させてきたものだ。「謎」や「ミステリー」をつくるのは、大雑把に言って、細部(ディテール)と、重力を処理する力学的なテクニックなんだけど、その最先端がこの建築だといえる。

この建物は、環境的にも、構造的にも、あと予算的にも、ものすごく攻めているのは間違いのないのだけど、しかし一方で、まちに馴染むような、ものすごく優しい建ち方をしている。目に見えないところで、ありとあらゆる無茶をしているにも関わらず、この建物がこの場所に建っていることは、とても自然なことだと思える。f:id:o_tkhr:20170907162659j:plain

 

これは集会場のほうで、キッチンや和室が入っている。こっちの建物も風が吹き抜けていて、8月だというのに、とても涼しかった。天窓にガラスは入っておらず、ここから風が抜ける。

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大屋根の下に複数のボリュームが配置されているという、ボックスインボックスの典型的な構成なのだけど、この構成というのは基本的に内部に熱を溜め込むので、涼しいと感じられるのはかなり異質なことだと思った。たとえば寒冷な気候ならば入れ子状の構成は有効で、毛綱毅曠の「反住器」など、さまざまなかたちで実践されている。でも温暖な気候で、内部を「冷やす」、つまり熱を外部に放出するという目的においても、この構成は使えるのだなと、とても感心した。内側に閉じた構成としての入れ子ではなく、開かれた環境のための入れ子。

(直島ホール, 2016, 三分一博志)

 

おとなりに住んでいらっしゃるおじちゃんに、内部事情をいろいろと教えてもらっている、の図。写真左側は、今回の旅行を企画してくれた、後輩のO澤氏。

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もういっちょ。奥にいるのは、T橋くん。先生たちが合流するまでは、この3人で行動してました。

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(Canon AE-1, New FD Zoom 35-70mm 1:3.5-4.5, KODAK PORTRA160)