170909

●瀬戸内で撮った写真③

●2日目のつづき。直島ホールを見たあと、西沢立衛設計の、ベネッセアートサイト直島オフィスへ。リノベーションであっても、最低限の手つきで、しっかりとSANAAの空間になっていた。とても勉強になる。

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(ベネッセアートサイト直島オフィス, 2004, 西沢立衛)

 

●その後は豊島へ向かうため、本村港へ。本村港には最近できた、SANAA設計の待合室がある。全体像を撮り忘れたので、下のリンクからどうぞ。

球体状のボリュームがいくつも組み合わされた、ともすれば不気味にも思える建物、じゃあないかと思う。カーサブルータスは「軽やかでかわいい」みたいな感じで紹介しているけれど、ぼくはちょっと、「え、なにこれキモチワルイ、、」と思ってしまった。あと、かたちのお遊びをしているようにも見えて、SANAAらしくないというか、第一印象がとても悪かった。でもしばらく観察していると、SANAAの狙いが「かたち」ではないことに気づく。

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建築というのは、大雑把に言えばシェルター、つまり「覆い」である。人間の生活空間を覆う構築物は、当然ながら人間の身体よりも大きなサイズをもつ。その、「人間以上のサイズをもつ構築物」をつくるためには、当然ながら人間が運べるサイズの大小様々なパーツを用意し、それを組み合わせる必要がでてくる。建築というのは本質的に、大小様々の、多種多様な構成部材を要求するものであり、さらに必然的に、そこにはテクトニック(結構)が発生する。

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この建物に戻ると、木の角材で組まれた架構に、FRP(とても堅い樹脂)で押し出された半透明の球体の束が、覆いとして乗っかっていることがわかる。覆いを構成する球体は全て同じ大きさで、いくつかの同型のFRPの半球を、現場でカットして接着することで、二次部材なしに、覆いができているとわかる(ちなみに樋もFRP)。SANAAの狙いは、ここにある。すなわち、本来は、大きさも種類もバラバラなパーツを大量に必要とする建築を、「たったひとつの単純なパーツ」だけでつくること、である。加えて、木架構をみるとわかるけど、「テクトニックなしの建築」を目指していることもわかる。本当は、この木架構なしで、FRPの球体の束のみで成立するものを作ろうとしていたいんじゃないか。あと、この球の大きさだけど、おそらく船で運輸できるギリギリの大きさのサイズなんだと思う。直島のような離島で建築を設計する場合、最も予算がかかるのが輸送費である。「ひとつのパーツだけでできている」ことで、当然ながら輸送費を極限まで減らすことが可能であり、さらに「半球」というカタチのメリットはここにあって、スタックすることで一度で大量輸送が可能である。また、FRPという素材は加工が容易なので、複雑な形態であっても現場での加工が可能だし、建設にかかる時間が通常よりも短期間で済むとなれば、人工(にんく)も削減される。

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この建物は、単純に形だけみているとイマイチかなぁとおもったけど、「建設のしかた」という見方でいくと、かなり新しい、画期的な試みをおこなっていることがわかる。決してカタチのモノマネではなく、SANAAは正しい意味で、バックミンスター・フラーの現代的な解釈をおこなっている。とはいえ、やっぱりカタチはちょっと不気味で、もう少し可愛くできたんじゃないかなぁと思う。スケールがよくないのか、FRPを半透明のままつかっているのがよくないのか、球体の数が問題なのか。うーん、、、。

(直島港ターミナル, 2017, SANAA)

(Canon AE-1, New FD Zoom 35-70mm 1:3.5-4.5, KODAK PORTRA160)