建築

JAN.14,2020_ふたつの構成主義

「構成」という用語、建築分野に限らずかなり頻繁に使うと思うのだけど、一般名詞ほど各ジャンルで特別な意味を持っていたりして、使い方が難しい。建築においては、そもそもcompositionの訳なのかconstructionの訳なのかあいまいな部分もある(後者にはもち…

DEC.29,2020_乳児の移動、モノの遮蔽

ユリイカの戸田ツトム追悼号がとても充実している。いろいろ書きたいことはあるのだけど、まずは佐々木正人の乳児の移動についての考察が非常に示唆的だった(戸田さんの仕事に直接言及されている部分ではないけれど、そちらはまた明日)。佐々木さんの乳児…

DEC.27,2020_2020年、納まる(たぶん)

昨日、国立でのトークイベントがあり、今日は展示物の撤収をして、いよいよ年内の仕事は納まった!(かな?本当に…?)という感じ。明日はひさびさに穏やかなのんびりとした日を過ごせると思う。といってもやることもとくにないので、洗濯したり、流し読みし…

NOV.24,2020_スケールの零度

もともとnoteで公開していた記事だけど、こちらに移行します(運営会社のごたごたが嫌になって、徐々にnoteから撤退中なのです、、)。去年建築雑誌に寄稿した、スケールに関するとても短い文章です。 - 建築はスケールの扱いが帰趨を決する芸術であるが、こ…

NOV.23,2020_アフタートーク

多木浩二の写真について語るトークイベントが無事に終わった。収録は2-3時間の予定がまさかの5時間超えで、生放送での継続視聴はかなりしんどさがあったと思うのだけど、前編後編に分割された動画が現在公開されているので、よろしければこちらを見ていただ…

NOV.1,2020_国立と妖怪

昨日はお昼から、国立で打ち合わせだった。おもえば国立駅をちゃんと降りて散策するのは初めてだったものだから、すごく新鮮だった。となりの立川は、たまに映画(主に爆音上映目当てで)を見に行ったりしていたから、なんとなく身に覚えはある。 国立は人の…

OCT.23,2020_読書会の記録①

先週の土曜日、ふんわりスタートした読書会の一回目が、浜町のタンネラウム*1にてあった。レジュメを作ったりする本格的なものではなく、「同じ本を読んだ人たちが同じ場所に集まる」くらいのゆるい枠組みではじめようとしているものだ(あと、建築関係の人…

OCT.19,2020_京セラ美術館

OCT.11,2020_日帰り関西遠征

今週の火曜か水曜あたりに、大阪の国立国際美術館でやっているヤン・ヴォーの展覧会が最終週ということで、急ぎ夜行バスの予約をとった。何人かの親しい友人たちから、見ておいた方がいいよと教えてもらっていた展覧会だったから、いずれ行こうとは思ってい…

OCT.9,2020_身体を与えられた環境

『タコの心身問題』に興味深い一節があった。本書の本筋の議論というわけではないところなのだけど、今上野でやっている展示の内容とも少し関係しそう。 視覚代行器(TVSS = tactile vision substitution systems)と呼ばれる機械がある。これは、視覚に障害…

AUG.21,2020_かけがえのなさの由来

おそらく、家はそこに住む一人一人の心の投影を受けて、初めて家として成立する。またそのようにして成立した家のイメージが、そこに生きる一人一人を見えない光線で照らし出し、その行動に不可視の規範をあたえ続ける。 中平卓馬「家・写真──二重の過去の迷…

JULY.31,2020_タンネラウム

「タンネラウム」(Tanneraum)という、水天宮にあるパン屋の倉庫兼絵のギャラリーについて語らう場にお呼ばれし、話してきました。タンネラウムを運営する佐藤熊弥くん、設計の板坂留五さん、美術家の奥誠之さんと黒坂祐さん、というメンバーになぜか僕がま…

JUNE.16,2020_西深井の左官

友人の堀越一希が設計・施工した飲食店がarchitecturephotoさんで記事になるということで、短い文章と写真を寄せた。 architecturephoto.net - 以下、掲載されたもの以外の写真。やっぱりインテリア撮ろうと思うと、広角のレンズがいるなあと実感した。 - あ…

MAY.30,2020_建築家をやめるとき

以下のような一節からはじまる文章がある。 翻訳することは、運搬することである。それは変化させることなく、何かを動かすことだ。これがこの語の本来の意味であり、発生するのは直動(trans-latory)運動である。この直動運動というアナロジーは、言語の翻…

MAY.21,2020_Youtuber

非常勤をしている専門学校で、コロナで自宅から出ることのできない高校生向けにということで依頼されたレクチャー動画がYoutubeで見ることができるので、時間があればぜひ見ていただければ。小さなプロジェクトでこんなに長い時間しゃべることができるという…

APR.18,2020_庭と架構

Baukunstの『Garden and Structure』(Brussels, 2016)というプロジェクト、ずっといいなと思っていたのだけど、コロナによる自宅待機が続くなかで、こういう空間が街のなかにあるという状況を望ましい(というか自分が欲しい)と思う気持ちが日にまし強く…

ARP.15,2020_原論

斎藤憲さんの『ユークリッド『原論』の成立: 古代の伝承と現代の神話』(東京大学出版会, 1997)がとてもおもしろかった。古代ギリシア数学に関する古今東西あらゆる研究を網羅しつつ、それらを批判的かつ厳格に精査しながら独自の論点を提出している。 本書…

APR.8,2020

今年で8年目になるMacbookが、ついに逝ってしまった。突然電源が落ちて、起動しても真っ暗な画面にはてなマークが表示されるだけで進展がない、という明らかにヤバイ状況だったのだけど、この画面になったらどうやらもう手遅れだということがわかり、観念し…

MAR.17,2020_ドミノの自己言及性

もっとも影響力のあるアンビルド・プロジェクトのひとつがル・コルビュジエのいわゆる「ドミノ」であることは、ほとんど疑いようのないことだと思われる(Fig. 1)。「家 domus」と「革新 innovation」からの造語で、正式には「Maison Dom-ino」(1914-15)…

MAR.11,2020

鉄筋コンクリートはその開発の初期段階においては教会から劇場まであらゆる種類の建物に使用されたが、その最も適切かつ必需的な用途は倉庫と工場だった。このふたつの類型は広大で遮るもののない内部空間を必要とするが、鉄筋コンクリート造は架構の内部空…

MAR.6,2020_増田友也

コロナの影響で大学図書館が3月いっぱい休館、さらには国会図書館まで休館になってしまった。大学図書館には博論の参考資料が数十冊あって、もうほんと勘弁してくれよという感じ。2020年度の前期(7〜8月あたり)に審査・公聴会をしてもらおうと思うと4月半…

FEB.26,2020_豊田市美術館

豊田市美術館、これまで経験した谷口吉生の仕事のなかで一番よかった。谷口建築は毎回この病的ともいえるような目地のコントロールに目がくらくらするんだけど(視覚的にも、かかっている労力のすさまじさにも)、猪熊弦一郎現代美術館とか東山魁夷館をみた…

JAN.25,2020_坂田一男

4月から勤めさせてもらうかもしれない会社の面接のあと、坂田一男展をステーションギャラリーで見た。かなりズッシリくるすごい展示だった。 坂田は1889年生まれで、1920年から32年まで渡仏してレジェに師事している。坂田が帰国したのは、1931に満州事変が…

JAN.6,2020_棒馬について / 抽象化のふたつのモデル

『棒馬考』と題された、エルンスト・ゴンブリッチ(1909 - 2001)によるちょっと変わった論考がある。1951年に発表されたこのテキストは表題の通り「棒馬」について考察したもの、なのだけれど、そもそも棒馬(hobby horse)って何って話だ。棒馬とは文字通…

DEC.25,2019_70年代の長谷川逸子

クリスマスだか特に予定もないので大学の図書館でひたすら過去の新建築を見るなどして過ごしていた。博論をまとめる前に作品サンプルの取りこぼしがないか最終チェックをしようということで、あと25日で大学の図書館が年末年始休業に入っちゃうということで…

DEC.21,2019_エリー・モサエビ

エリー・モサエビさんという女性の建築家がいて、最近すごく気になっている。というのもETHZ(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)のモサエビさんのスタジオ成果物のクオリティがやばくって。彼女のことは佐伯(達也)さんに教えてもらって知ったんだけど、…

DEC.10,2019_一号棟の再改修

同期の堀越一希が自主施工したリノベ物件(坪単価15万!!)を見に、千葉県富里市へ。見学会というか、飲み会も兼ねて……という感じで。成田駅から車で15分くらい?だったかな。詳細は堀越のHPで確認してみてください。 www.kazukihorikoshi.com 内装だけでは…

DEC.1,2019_古代ギリシアのイメージ

久しぶりにアレントの『人間の条件』を読み直しているのだけど、素晴らしすぎて感動してしまった。これほど聡明な人がかつて地球上にいたのだということは、なんというか、救いに近いものがある。こういうテキストをするりと原著で読める語学力がほしい(ド…

NOV.29,2019_空間の触覚性

Twitterでちょろっと書いたのだけど、10/24の鈴木了二×中尾寛トークイベントで(一部の人間にとってはたまらない組み合わせだ)了二さんが写真の被写界深度のことについて興味深いことを話しておられたので、メモ。 TDC / crafTecセミナー@ ゲンバー特別回 …

NOV.25,2019_浄土寺浄土堂

関西でとった写真⑩ 待望の浄土寺浄土堂で今回の関西旅は終わり。小野市に向かう際に乗った神戸電鉄がめちゃくちゃよかった。ぼくが乗ったときは電気がついてなくて自然光だけで、それで木々のトンネルみたいなところを通るものだから、影が車内に、すごくき…