声にだして読みたくなるブログ

大村高広丨建築と写真を中心に、音楽、映画、美術、人文学などについて書いている備忘録です。

美術・展覧会

JUNE.3,2019_なぜフィクションか?①

ジャン=マリー・シェフェールの『なぜフィクションか?』(慶應義塾大学出版会, 2019 / Jean-Marie Schaeffer: Pourquoi la fiction ?, Editions du Seuil, 1999)がすごくおもしろかった。ぼくの最近の興味どストライクな内容。さらにnoteで立石遼太郎さん…

MAY.31,2019_いくつものおおきさ

きのう、ギャラ間の展覧会に合わせて開催された中山英之さんの講演会を聞きにいってきた。大変におもしろくて、本当にいってよかったと思った。中山さんほどストイックに「おおきさ」を追求している建築家は他にいないかもしれないなと、あらためて感じたの…

MAY.27,2019_新たな約束事

門林さんのテキスト「メディウムを混ぜかえす」(『イメージ学の現在』第10章)がたいへん勉強になった。ロザリンド・クラウスの「ポストメディウム的状況 / 条件」をめぐる議論を、クラウスが刺激を受けていたスタンリー・カヴェルの映画理論にも目を配りな…

MAY.24,2019

こっそり美術出版社の「芸術評論募集」という論文のコンペに応募していたのだけど、めでたく落選となった。「アナーキズムの条件」というタイトルの、写真家の中平卓馬をあつかったテキストで、要旨は以下の通り。 - 1974年、中平卓馬は自身が表紙を担当し…

APR.17,2019_エド・ルシェ

ジェフ・ウォールの「取るに足らないものの印」(1995)に出てくるエド・ルシェに関する一説はとても魅力的だ。ウォールは「アマチュアリズムの“模倣”」というこのテキストの中心的な主題の、もっとも純粋かつ模範的な作例のひとつとして、ルシェが1963年-70…

MAR.25,2019_ 失われたモノを求めて

『失われたモノを求めて』(池田剛介)を読んだ。これまでの池田さんの論考や作品にすごく共感していたのでこの初の単著をとても楽しみにしていたのだけど、その期待を裏切ることなく、すごくよかった。とくに書き下ろしの論考「失われたモノを求めて」では…

MAR,10.2019_アアルト展の会場設計について

告知もかねて、「アルヴァ・アアルト -内省する空間-アアルトの図書館と住宅」展の会場構成にあたって考えていたことを書いていきます。 この展覧会はアアルトの住宅と図書館に焦点をしぼり、とくにその内省的な空間の質に注目したもので、中心となる展示…

MAR,8.2019_展示什器メイキング

堀越くんが制作した展示什器のメイキング動画+会場風景の動画です。ぜひご高覧ください。 youtu.be - 展示台はホームセンターにて廉価で手に入る素材(ラワンランバーコア、赤松60mm角材)を用い、同時に(ランバーコアの端材を梁や貫に使ったりして)歩留ま…

MAR,6.2019_〈告知〉アアルト展はじまりました

フィンランドの建築家、アルヴァ・アアルトの展覧会「アルヴァ・アアルト 内省する空間」展が開催されています(〜3月17日)。ぼくが会場設計を担当し、同期の堀越一希が展示什器の設計・制作を担当しました。東京ステーションギャラリーで開催中の「アルヴ…

FEB,3.2019_岡崎乾二郎『抽象の力』

岡崎乾二郎の新刊『抽象の力』は、2017年に豊田市美術館でおこなわれた同名の展覧会に合わせ書き下ろされた長大な論考(展覧会の公式サイト上で公開されていて、個人的には当時何回も読み返した論考だった)を中心に、ここ10年余り期間に書かれた岡崎さんの…

FEB,2.2019_中平卓馬について②

Google Search Consoleをチェックしていると、「中平卓馬」という検索ワードでこのブログに到達していただいている方が非常に多い(切ないことに、ぼくの名前で検索してくれている方よりも多かったりするくらいだ)。ということで今回は、「次回につづく(多…

JAN.18,2018_四次元が見えるようになる本

後輩から教えてもらった『四次元が見えるようになる本』(著者は数学者の根上生也さん)という本がすごくおもしろかった。アナロジーとかではなく、本当に四次元がみえるようになってしまえる本だった。 とくにおもしろいのが、著者が “四次元を見るための奥…

JAN,15.2019_加湿器、ジェフ・ウォール

土曜日のことだけど、すこしだけ雪がふった。粉雪ってやつだろうか、きれいだった。たしかに土曜はそれほど寒かった。ぼくは防寒力が貧弱なコートしかもっていいないので、コートのしたにウィンドブレーカーをきてそのしたにベスト型のダウンを着込むという…

DEC.22,2018_三連休?とミルトン・エイヴリー

○ 世間では今日から三連休なのだが、25日に博士課程の中間報告会があるのでちっとも休める気がしないのだった。いや、べつに休んでいいのだけど(急ごしらえで用意するものもないし)、気持ち的になんだか落ち着かない感じ。ところでこのカメラを買ったとき…

DEC.19,2018_ソル・ルウィットについて

○ 現在準備中の某書籍のために、ソル・ルウィット(Sol LeWitt,1928-2007)について少し調べていたのでメモ。ルウィットのプロジェクトで特徴的なのは、構想された概念(concept)がまずもってあり、展示される作品においては、それを「表象する手続き」がか…

SEPT.23,2018_帰ってきたGMC

先週の土曜日の話になってしまうのだけど、近美のゴードン・マッタ=クラーク展を再訪した。土曜日限定で公開されていた奥村雄樹さんの「帰ってきたゴードン・マッタ=クラーク」(Welcome Back, Gordon Matta-Clark)という映像作品をみるためだ(企画展の…

SEPT.20,2018_リー・キット展

品川駅の西口をでて400mほど歩いたくらいで、ぽつぽつと降っていた雨が徐々に強くなり、50mほど進んだくらいでどしゃ降りになった。はいていたスニーカーはかかとの部分がすり切れて破けてしまっているので(そろそろ買い替えたい)、くつのなかは完全に水没…

JULY24,2018_通路を見出すこと

○もうコメントの方でご指摘いただいているけれど(指摘されたらうれしいなとは思っていたのでとても嬉しい)、21日の写真と22日の写真は、清野賀子の写真集『至るところで 心を集めよ 立っていよ』(オシリス, 2009)という写真集におさめられているショット…

JULY12,2018_建てることの権利について

○今月の『10+1』に掲載されている福尾匠さんによる論考「プロジェクション(なき)マッピングあるいは建てることからの撤退」がとてもおもしろかった。今月はヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館の特集で、選考段階でいろいろ問題があったことが記憶…

JUNE25,2018_マッタ=クラーク展

○Screaming Headless Torsos、まじかっこいい。フュージンスキーがまだ若いなぁ。 youtu.be ○近美でゴードン・マッタ=クラーク展は、すごく良い内容だったと思う。こんなに(一貫しつつも)多様な活動をしてた人だったんだなぁと思った。次もう一回いって、…

APR.20,2018_中平卓馬について①

○けっこう前のことだけど、渋谷のCASE TOKYOで中平卓馬の個展『氾濫』をみてきた。 1938年に東京で生まれ、2015年に亡くなった写真家で批評家の中平卓馬。同展で紹介する作品『氾濫』は、1974年に東京国立近代美術館で開催された『15人の写真家』展に中平が…

MAR.28,2018_写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−

○献本用のしおりを納品しに乃木坂へ。ついでにその帰り、21_21 Design Sightで「写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−」をみた。が、あまりよくなかった。デザイン系の美術館で写真展をやるとこうなるのか、という感じ。ウィリアム…

180218

●恵比寿映像祭へ.永田康祐さんのトークと,高嶋晋一+中川周さんのトークを聞いた.永田さんの《Sierra》は去年の「Surfin’」で,高嶋さん中川さんの《standstill》は「引込み線」で,それぞれ観賞したことがあったのだけど,都写美での展示では両者とも全…

180203

●藝大の卒業・修了作品展にいった。先端の富澤大輔さん、山本暦さん、建築の板坂留五さん、油の奥誠之さんの作品がとてもおもしろかった。 ●富澤さんの作品はスライドの映写機を2台使ったものだった。富澤さん自身が撮ったであろう新しい写真と、過去に撮ら…

180119_熊谷守一「生きるよろこび」

●午後、新幹線で黒部宇奈月温泉駅を出発し、17時ごろ東京駅に着く。そのまま、熊谷守一「生きるよろこび」展を東京国立近代美術館でみた(近美は金土、20時まで開館している)。1950年以降のモリカズがなぜこれほどまでに魅力的なのか、なんとか整理しないと今…

171010_未来の幽霊

もう3週間くらい前になるけど、「未来の幽霊 ―長沢秀之展―」を見てきたので、備忘録もかねて、少し書き残しておこうと思う。 記念写真や肖像写真といった写真を、キャンバスの上に正確に模写する。そしてその上に、筆致の集積を点描のように置き、色彩を重ね…

170705

●昔のバイト先の知り合いが個展を開催されているということで、数日前に見に行ってきたのだけど、素晴らしい作品が展示されていた。絵画と、絵画の制作過程をコマ送りの動画にした映像作品。まさに自分がいま建築とか写真とかで考えていることを絵画でやって…

170614_写真についてのノート③ それは=かつて=あった

写真についてのノート③ ●『明るい部屋』のつづき。後半戦は「前言撤回」によって始まる。 《かくして私は写真から写真へと遍歴を重ね、なるほど自分の欲望がどのように働くのかを知ったが、しかし私は「写真」というものの本性(エイドス)を発見したわけでは…

170609 写真についてのノート② プンクトゥムについて

写真についてのノート② ●前回からの続き。バルトの「プンクトゥム」を補助線に、“眼”をいかに制作していくのかという方法論について。 写真を、自分がそのときに見ているイメージに近づけるようなかたちで撮ることは、なんだかつまらない気がする。なぜなら…

170608 写真のためのノート① 眼の制作について

写真のためのノート① ●僕は写真はまるっきり門外漢なのだけど、このごろ写真を撮っていて、実際撮るからこそ気づくこととか感じたことが色々あったので、言語化してみようかと思う(何パートで完結するかわからないけれど)。 ●写真とは、自分が今見ている世界…