読書・論考
個展について振り返らねば、と思いつつ、一ヶ月以上が過ぎてしまった。というか二ヶ月くらいが過ぎようとしている。展示は7週間ほど前に終わった。正確には、11月21日に終わった。でも、展示室への手入れが会期中に終わらずもう数日続いたり、25日に「竣工式…
今週の月曜日に、下北沢のB&Bさんで岡崎さんとのトークイベントがあった。先週の木曜はミサワAプロジェクトのレクチャーがあって、これでトーク系のイベントはひと段落。聞いてくださった皆様、本当にありがとうございました。こういう地道なトークイベント…
昨日の夜につくった6種類のおかずから2種類を選んでご飯にのせ、お昼とした。6種類もつくったのに、うまくいったと納得したのはひとつだけ(ナスの肉味噌炒め)だった。午前中は昨日から引き続き雨がときおり降っていたけれど、午後になると夏が帰ってきたよ…
7月19日に行われた博士論文の公聴会は無事に終わって、気がついたら3週間近くも過ぎてしまった。博論が一段落してから「ぜったいに文字を書きたくない!」という強い信念のようなものが芽生え、すっかりブログからは遠ざかってしまっていたけれど、そろそろ…
「ノーツ」ですが、クレジットカードの支払い審査が終わってカードでのお支払いもできるようになったので、ぜひにです。コンビニ支払を設定した方で、支払いを忘れてそのままキャンセルに……という方がけっこう何人もいらしゃったのだけど、これでひと安心、…
雑誌をだしました。ブログでちょくちょく進捗報告してたものです。長い道のりでしたが、ようやく刊行できました。下のページから詳細をみることができます。発送は3月初旬を予定していますが、すでに予約は可能です。数に限りがあるので、ぜひ早めにご予約い…
ユリイカの佐々木さんの文章(「DEC.29,2020_乳児の移動、モノの遮蔽」で紹介した)がすごくよかったので、佐々木さんの最新の書籍を読んでみた。タイトルから内容がとても気になっていたのだけど、やはりかなりおもしろかった。 本書のタイトル「あらゆると…
「構成」という用語、建築分野に限らずかなり頻繁に使うと思うのだけど、一般名詞ほど各ジャンルで特別な意味を持っていたりして、使い方が難しい。建築においては、そもそもcompositionの訳なのかconstructionの訳なのかあいまいな部分もある(後者にはもち…
目が覚めると、寝る前あれほど夢の内容を覚えていようと決意したにも関わらず、頭のなかには何も残っていなくて、さっぱりすっきりとした目覚めだったことが切なかった。心地よさと切なさがおなじくらいの強さだった。初夢なんてなかったのだ。ところで、覚…
新年あけましておめでとうございます。新年早々、となりで畑をやっている野口さんから野菜をもらって、2021年は良い年になりそうだなと予感した。もらったのは大根と白菜なのだけど、大根がとにかく冗談みたいにおおきくて。大根がおおきいことが嬉しくて、…
ユリイカの戸田ツトム追悼号がとても充実している。いろいろ書きたいことはあるのだけど、まずは佐々木正人の乳児の移動についての考察が非常に示唆的だった(戸田さんの仕事に直接言及されている部分ではないけれど、そちらはまた明日)。佐々木さんの乳児…
もともとnoteで公開していた記事だけど、こちらに移行します(運営会社のごたごたが嫌になって、徐々にnoteから撤退中なのです、、)。去年建築雑誌に寄稿した、スケールに関するとても短い文章です。 - 建築はスケールの扱いが帰趨を決する芸術であるが、こ…
多木浩二の写真について語るトークイベントが無事に終わった。収録は2-3時間の予定がまさかの5時間超えで、生放送での継続視聴はかなりしんどさがあったと思うのだけど、前編後編に分割された動画が現在公開されているので、よろしければこちらを見ていただ…
所要でカントの方位論文を読み直した。やはり重要な論文と呼ばれるだけある。 方位は、空間におけるある物が他の物に対してもつ関係──これが位置という概念の本来の意味であるが──のうちにはなく、方位はむしろ、こうした諸々の位置の体系が絶対的な宇宙の空…
先週の土曜日、ふんわりスタートした読書会の一回目が、浜町のタンネラウム*1にてあった。レジュメを作ったりする本格的なものではなく、「同じ本を読んだ人たちが同じ場所に集まる」くらいのゆるい枠組みではじめようとしているものだ(あと、建築関係の人…
『タコの心身問題』に興味深い一節があった。本書の本筋の議論というわけではないところなのだけど、今上野でやっている展示の内容とも少し関係しそう。 視覚代行器(TVSS = tactile vision substitution systems)と呼ばれる機械がある。これは、視覚に障害…
久しぶりにバルトの『表徴の帝国』を本棚から引っ張り出して読んでいるのだけど、おもしろい。大学の学部生のころとはぜんぜん違う発見がある。とくに「包み」という章は本質的な箇所であるように思った。この章はすごい。たとえば、 もしも、花束、品物、木…
季節というやつはとてもまじめな性格をしているらしく、日付がちょうど9月に入った今日の深夜から朝方にかけて急に涼しくなって、秋の訪れを感じる日となった。今年は信じられないくらい時間がすぎるのが早いのだけれど、これは自宅で過ごす時間が長いからな…
おそらく、家はそこに住む一人一人の心の投影を受けて、初めて家として成立する。またそのようにして成立した家のイメージが、そこに生きる一人一人を見えない光線で照らし出し、その行動に不可視の規範をあたえ続ける。 中平卓馬「家・写真──二重の過去の迷…
前回からの続きを気合で書いてみるの回。 www.ohmura-takahiro.com マイルス・デイビスに限らず、アート・ブレイキーも、ソニー・ロリンズも、バップの複雑化運動とその限界には早々に気がついただろう。けれどマイルスが突出していたのは、それこそ「コード…
最近あらためてチャーリー・パーカーを聴いてるんだけど、やっぱりこの人の演奏変だ……ヤベえ……となっている(何をいまさら!って感じだけど)。きっかけはジャズの歴史の流れが自分の歴史観のベースになっている、みたいなことを友人に話したことだった。な…
ものすごく暑くなってきて、ほぼ半袖Tシャツ一枚で毎日過ごしている。せっかく窓を開けて気持ちのよい日が続いていたのに、エアコンつけないと真っ昼間はちょっときついような気候になってきた。もうすぐ梅雨だろうし、なんというか、快適にすごせる期間が短…
以下のような一節からはじまる文章がある。 翻訳することは、運搬することである。それは変化させることなく、何かを動かすことだ。これがこの語の本来の意味であり、発生するのは直動(trans-latory)運動である。この直動運動というアナロジーは、言語の翻…
斎藤憲さんの『ユークリッド『原論』の成立: 古代の伝承と現代の神話』(東京大学出版会, 1997)がとてもおもしろかった。古代ギリシア数学に関する古今東西あらゆる研究を網羅しつつ、それらを批判的かつ厳格に精査しながら独自の論点を提出している。 本書…
もっとも影響力のあるアンビルド・プロジェクトのひとつがル・コルビュジエのいわゆる「ドミノ」であることは、ほとんど疑いようのないことだと思われる(Fig. 1)。「家 domus」と「革新 innovation」からの造語で、正式には「Maison Dom-ino」(1914-15)…
コロナの影響で大学図書館が3月いっぱい休館、さらには国会図書館まで休館になってしまった。大学図書館には博論の参考資料が数十冊あって、もうほんと勘弁してくれよという感じ。2020年度の前期(7〜8月あたり)に審査・公聴会をしてもらおうと思うと4月半…
『棒馬考』と題された、エルンスト・ゴンブリッチ(1909 - 2001)によるちょっと変わった論考がある。1951年に発表されたこのテキストは表題の通り「棒馬」について考察したもの、なのだけれど、そもそも棒馬(hobby horse)って何って話だ。棒馬とは文字通…
半年に一回くらいやってる最近聴いてる音楽の報告回。1回でまとめようと思ったのだけど、予想以上の分量になっちゃったので明日と今日でわけます。 - ○ Kurt Rosenwinkel Bandit 65 / Searching The Continuum △ Kurt Rosenwinkel: g, voice, electronics, T…
久しぶりにアレントの『人間の条件』を読み直しているのだけど、素晴らしすぎて感動してしまった。これほど聡明な人がかつて地球上にいたのだということは、なんというか、救いに近いものがある。こういうテキストをするりと原著で読める語学力がほしい(ド…
Twitterでちょろっと書いたのだけど、10/24の鈴木了二×中尾寛トークイベントで(一部の人間にとってはたまらない組み合わせだ)了二さんが写真の被写界深度のことについて興味深いことを話しておられたので、メモ。 TDC / crafTecセミナー@ ゲンバー特別回 …