声にだして読みたくなるブログ

大村高広丨建築と写真を中心に、音楽、映画、美術、人文学などについて書いている備忘録です。

170925_広島逓信病院

●瀬戸内で撮った写真⑰。9日目、いよいよ最終日(9月3日)。この日は早朝から行動し、広島でまだ見ていない建築をあらかた見学していく。

●まずは、山田守による『広島逓信病院』。京都タワー日本武道館東海大学キャンパス計画等の設計で知られる山田の、初期の代表作のひとつだ。被爆により多大な損害を受けるも、RCのストラクチャーだけはなんとか持ちこたえ、この外来棟のみが竣工当時の姿に復旧・保全されている。現在は、被爆当時の状況を展示する資料室として残されていて、無料で見学が可能だ。一見ストレートな近代建築に見えるけど、ヨーロッパのモダニズム建築とはちょっとずれていて、即物的でありながら、どこか柔和な表情を見せる。この立面がぼくはとても好き。

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角はすべて丸い。ほんとうにどの角も、病的なまでに徹底的にフィレットされている。病院ということで、ホコリが溜まりにくいなど衛生面へ配慮した結果なのだけど、それだけではなくて、空間に独特の柔らかさをもたらしていると思う。

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階段室に面する縦長の特徴的な開口部は、上部と下部がそれぞれ横滑り窓になっていて、風を室内に呼び込むための合理的な形態になっている。階段では、手すりも丸い。山田守建築の曲線は、どこか抜けているというか、いい意味で緊張感がないというか、どこかリラックスさせられるような曲線で、そこがいい。

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(広島逓信病院旧外来棟被爆資料室, 1935, 山田守)

 

●つづいて、『アストラムライン新白島駅』。去年、若くして亡くなられた小嶋一浩の、おそらく遺作にあたる建築だと思う。小嶋さんの死から、もう1年経つのか。ぼくを含め、だれも予想していなかったし、多くの人々が深く悲しんだ。小嶋さんは、ぼくが学部の1年生のときまで理科大の教授でいらっしゃったので、ぼくは理科大で小嶋さんの教えを受けた最後の世代ということになる。どこか宇宙船のような、SF的な、フィクションのような雰囲気を持つこの建築の空間を経験しながら、小嶋さんがこの建築のあとにやろうとしていたことに少し、思いをはせていた。

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(アストラムライン新白島駅, 2015, 小嶋一浩+赤松佳珠子/CAt)

(Canon AE-1, New FD Zoom 35-70mm 1:3.5-4.5, FUJIFILM PREMIUM 400)