声にだして読みたくなるブログ

大村高広丨建築と写真を中心に、音楽、映画、美術、人文学などについて書いている備忘録です。

SEPT.26,2018_パッツィ家礼拝堂

イタリアで撮った写真③

 

養育院をはなれ、パッツィ家礼拝堂へ。

 

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この建物はこじんまりとした、とても簡素な礼拝堂なのだけど、合計で1時間半くらいは滞在してしまった(おかげでその後の予定がいくつか変更になった)。でもとてもよかった。装飾は簡素なステンドグラスと、トップライトの四方に設置されたレリーフ(トンド)くらいのもので、壁の素材もスタッコのような、くすんだ灰色の素材でつくられていた。木の屋根加工も、アパートのつくりかたかなと思うくらい質素なつくり。平面・断面のつくりかたも、昨日の養育院、おとついのクーポラと同じように正方形や円を用いたとてもシンプルな方法でなされている。ファサードは六本の柱によるロッジアで、多くの人々を受ける止める堂々たるスケールと均整でつくられているのだけど、これもまた例に漏れず異様にシンプルで正面性が弱い。

 

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がんばって振り返りながら天井を撮るが、なかなかおさまらない。カメラを覗いて、ファインダーを覗いた瞬間に、違うなと思う。撮れない(いちおうシャッターはおしてるけど)。もっと視野の広いレンズのほうがよかったのかもしれないのだけれど、でも、いくら広角のレンズを使ったとしても、この建築の空間の感じを撮影するのは難しいのかもしれない。映像のほうがむいてそうなだなと思う。

 

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今回のイタリア滞在では、建築の知覚体験において音はとにかく重要であるということを再認識することになったのだけど、この建築は音環境の美しさが突出していた。教会もかなりいろいろまわったけれど、文句なくナンバーワン。

雑音ですら美しく聞こえてしまうような、包み込まれるような優しいエコーが内部を満たしている。同じタイミングで内部を見学していた女性が、聖歌を口付さんでいたのだけど(最後の方はノッてきたのか、かなりの音量で歌っていたが)、それがとてつもなく美しくて、ずっと聴き入ってしまっていた。この簡素な建築にずっと居座ってしまったのは、この音環境の突出した美しさがあったからだ。

 

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ブルネレスキの建築特有の「つかめなさ」はこの建築にもある。トップライトから拡散して落ちる光と四方に配されるレリーフは、内部空間の無方向性を強調している。その空間に軟質なエコーのかかった音が充填されるので、あたかも宇宙空間に放り出されて聖歌を聴いているような、そんな浮遊感に襲われるのだった。

 

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Filippo Brunelleschi: Pazzi Chapel, 1441–1460s, Florence, Italy

 

 

その後、サント・スピリト教会、ブランカッチ礼拝堂、サン・ロレンツォ教会等をまわる。内部空間を撮影できる建築はほとんどなかったので、残っている写真はこんなものだ。アルベルティの正面性の強さ、ブルネレスキと対照的で笑ってしまった。これはこれでいいのだけど。

 

 

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Leon Battista Alberti: Basilica di Santa Maria Novella, 1458-1478, Florence, Italy

 

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Filippo Brunelleschi: The church of Santo Spirito, 1441–1481, Florence, Italy

 

フィレンツェ編は今日でおわり。たのしかった。が、数日後に英語で研究発表しなければいけないことを思いだし、うわあ、、となりながらユーロスターに乗って、ミラノに戻った。

 

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(Canon AE-1 Program, FD F1.4 50mm, 記録用フィルム100)