声にだして読みたくなるブログ

大村高広丨建築と写真を中心に、音楽、映画、美術、人文学などについて書いている備忘録です。

DEC.7,2018_ 釜石→田老

東北で撮った写真⑥

○東北で撮った写真は今日で終わり。下は新井さん設計のホールだけど、これは陸前高田から釜石にいく途中に寄った建物だ。震災前に竣工したホールだけど、震災時には避難所として、その後は復興拠点として活躍したことで有名。断面的に非常に複雑な操作がなされた建築だけど、対照的に平面はすごく整理されていたのが印象的だった(そして下の写真右の謎のスペースも、、)。とくに図書館は動線がリング状に整理されていてすごく明快。複雑だけどカオスにはなっておらず、情報量のコントロールが巧みだなと思った。

f:id:o_tkhr:20181207233217j:plain△ 新居千秋都市建築設計: 大船渡市民文化会館・市立図書館 / リアスホール, 大船渡, 2009

 

そうだ、そういえば気仙沼では石山修武設計のリアス・アーク美術館にも行っているのだけど、写真を撮っていなかったのだった。ちょっと個人的にあの建築はダメだったのだけど、でも展示は素晴らしかった。「東日本大震災の記録と津波の災害史」という常設展。ものすごく気合の入った展示で、胸が打たれた。あれほど魂のこもったキャプションを呼んだのは生まれて初めて。

リアス・アーク美術館

 

○大船渡のあとは釜石にいって、乾さんのプロジェクトをみるわけだな。前回の記事でまとめた唐丹の学校。

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△釜石市立唐丹小学校・中学校・児童館の裏山

 

釜石市で泊まったホテルの近くにあったのはヨコミゾさんのホールだった。このプロジェクトはプロポーザル段階から知っているので、実際に見学できて感無量だった。既存の町割りのリズムを残した計画はすごく効果的。ただ乾さんのプロジェクトのあとだと少し物足りなさを感じる。もちろん主観的な意見なわけだけど、この差はなんだろうかなと考えている。この近くにある千葉さんの集合住宅もそうなんだけど、つっこんで議論したくなる感じではないんだよね。問題解決はしているけれど、積極的な問題提起はしていないというか。

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△ aat+ヨコミゾマコト:釜石市民ホールTETTO, 釜石市, 2018

 

釜石のホテルの近くにあった墓地はすごい迫力だった。斜面にビッシリとお墓が集合していて、さらに奥にいくにしたがって階段が小さくなっていくので、奥行が錯視的にすごく強調されていた。

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最後は田老町の防波堤。1896年、1933年と立て続けに大津波による壊滅的な被害を受け、もともと「万里の長城」と呼ばれるような長大な防潮堤を築いていた田老町。既存の防潮堤は実は3.11では十分に機能したとはいえなかったみたいで、現在ではより巨大な防波堤が新たに建設されていた。まさに進撃の巨人の壁ような規模だ。

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このような巨大な防波堤をどう受け止めるかは難しい問題だ。ただ、意見はいろいろあるにしろ、既に立ってしまっているということには変わりない。この巨大な壁をどうにか肯定的に受け止めるような、日常生活におけるうまい付き合い方を考えないとなと思うところだ。

最後は駆け足になってしまったけれど、東北の写真はここまで。復興の状況を自分の目で確かめることができて本当に良かったと思う。明日からはまた、日常的な写真ブログに戻ると思います(撮った写真が渋滞している、、)。

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 (Canon AE-1 Program, FD F1.4 50mm, FUJICOLOR 100)