声にだして読みたくなるブログ

大村高広丨建築と写真を中心に、音楽、映画、美術、人文学などについて書いている備忘録です。

NOV.4,2019_傘亭と時雨亭

関西でとった写真⑥

 

 高台寺の傘亭と時雨亭。伏見城のもともと別の敷地に建っていたふたつの茶室を、小堀遠州が高台寺のなかでもかなり斜面の上のほうにある敷地を選定し移築、ドッキングしたもの。下は傘亭で、地面との距離が近く、木々の中に埋もれるように配置されている。極めて重心の低い建物だなと感じる。

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 対してもう片方の時雨亭は二階建の茶室で、高台からの眺望の取れる場所に配置されている。この簡素なブリッジからの急な階段がとてもよい。きわめて重心の高い建物。おそらく二階の茶室は、傘亭との対比もあいまって天空に浮いているような場になっているんだろうなと思う。

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 地面から生えてきたような傘亭と天空に飛び立ってしまいそうな時雨亭をドッキングするという小堀遠州のセンスのよさ、配置のうまさ……。ところで傘亭は竹で組まれた天井がカラカサのようだということで命名されたみたいなのだけど、時雨亭も同じような天井の仕上げになっていた、ように思う。結局のところすごく形態の似ている(利休による意匠といわれる)ふたつの茶室なんだけど、違いといえばその断面方向の重心の位置で、遠州はその差異をはっきりと際立てるように場所を吟味・配置し、両者をつなぎなおしたわけだ。天井の仕上げも同じ、サイズもだいたい同じだけど、両者の空間の「明るさ」は対比的で、傘亭はじめじめしていて暗く、時雨亭はカラッとしていて明るい(加えて傘亭の内部にいて聞こえてくる音は虫の鳴き声で、時雨亭の中で聞こえる音は鳥の鳴き声なんじゃないだろうか、とか思ったり)。同じ茶室というフォーマットを使った対比が可能だからこそ、環境の微細な変化みたいなものを感じ取ることができる、ように仕掛けられている。メルクリの「彫刻の家」を思い起こさせるような。

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PENTAX 67, SMC TAKUMAR 6×7 105mm/F2.4, FUJI PRO400H