新宿ホワイトハウスの庭 / Garden beside WHITEHOUSE

2021 改修

* GROUP

 

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 2月15日、初回打ち合わせ。建物と塀のあいだの、幅1.5mほどの細長い外部空間を、ギャラリー兼カフェ・バー兼住居の庭としてつくり直して欲しいとのことだった。建物を調査してみると、三間立方の吹抜というコンセプトに追従するように架構が最小限の部材でグリッド状に組まれていて、開口部の脇に柱が通っていないことが判明する。通常の木造建築の改修のように開口部周辺の構造に頼れない状況で基本設計をはじめる。3月1日、実施設計。現場に通いながら、庭に散らばる物品を整理したり、枯葉や枝を掃除したり、穴を掘って樹木の根の深さを確かめたり、室外機や郵便ポストの位置を実測したりするなかで、基礎を打設しうるわずかな空隙を見つけ、最低限必要な床や台、屋根の位置と寸法を少しずつ定めていく。3月20日、着工。施工はアーティストとGROUPの協働で行った。各々のアーティストがもっている物を作る確かな技術と経験が、木材や金属の繊細な加工など、適材適所で生かされた。4月6日、竣工。

 開口部にはめ込んだ門型フレームにより構造的に独立するチケットカウンター。壁の中に内側から差し込んだ梁と、郵便ポストの角にピタリと接する一本の柱で支えられ、住居の物干しも兼ねた半円屋根。同じく既存躯体とすれ違うかたちで壁内にフレームを挿入することで成立している真鍮エントランス扉。老朽化したブロック塀の鉄筋を補強する役割をもつ塀カウンター。樹木によってその場に留まっている、建物と少しだけ距離を空けて浮かんでいる床。それぞれ複数の役割をもつ場は、ときに周囲の環境に頼りながら、ときに自立しながら存在している。

 状況に巻き込まれながら、現場にあるすべての材料=可能性を設計や施工に巻き込んでいくことで、ひとまず改修は完了した。今後、新宿ホワイトハウスでは展示やパフォーマンスが続けられていく。私たちが関わったささやかな状況の改良が、この場所に引き寄せられたアーティストらによる建物や都市へのアクションを助けながら、きっといつかおこなわれるであろう、次の改修のきっかけとなればと考えている。

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©yurika kono

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掲載情報
新建築住宅特集 2021年8月号「改修 新宿ホワイトハウス」, 新建築社
CONFORT 2021年8月号「新宿ホワイトハウスの庭」, 建築資料研究社
BRUTUS 940号「新宿ホワイトハウスの庭」, マガジンハウス