新宿ホワイトハウスの庭 / Garden beside WHITEHOUSE

2021 改修
* GROUP

 

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60年以上の年月のなかで所有者が幾度も変わり、増改築を繰り返してきた「新宿ホワイトハウス」。

そもそもは美術家・吉村益信の住居件アトリエとして建設された住居であり、建築家・磯崎新による初めての建築物でもあった。吉村益信をリーダーとして、篠原有司男、赤瀬川原平、荒川修作、風倉匠ら若手アーティストによって1960年に結成された前衛芸術グループ「ネオ・ダダイズム・オルガナイザーズ」(通称ネオ・ダダ)はこの場所で様々な展示やパフォーマンスを行ったが、吉村の渡米を期にこの建物は画家・宮田晨哉のアトリエ兼住居となった。

それから半世紀ほどが過ぎた2013年からはライブカフェ「カフェアリエ」として運営がなされ、2019年にはアートコレクティブ「Chim↑Pom」の住居兼アトリエとなった。そして2021年、Chim↑Pomの卯城竜太、アーティストの涌井智仁、ナオ ナカムラの中村奈央が運営する会員制のアートスペース「WHITEHOUSE」として新たにオープンするにあたって、GROUPが改修を担当することになった。

改修内容は、建物と塀の間の幅1.5mほどの細長い外部空間を、バー・カフェ・アートスペースのための庭として作り直すことだった。建物を調査してみると、三間立方の吹抜けという磯崎のコンセプトに追従するように架構が最小限の部材でグリッド状に組まれていて開口部の脇に柱が通っていないなど、既存の構造体を過度に頼るのは難しい状況が判明した。

そこで私たちは、「状況に応じた自立性の調整」という方針を選択した。

開口部にはめ込んだ門型フレームにより構造的に独立したチケットカウンター。壁の中に内側から差し込んだ梁と、郵便ポストの角にぴたりと接する1本の柱で支え、住居の物干しも兼ねた半円屋根。同じく既存躯体とすれ違うかたちで壁内にフレームを挿入することで成立している真鍮エントランス扉。老朽化したブロック塀の鉄筋を補強する役割を持つ塀カウンター。既存の樹木によってその場に留まっている、建物と少しだけ距離を開けて浮かぶ床。外部空間を「庭」として運用していくための必要最低限の諸要素は、時に周囲を頼りながら、時に自立的に、既存環境に介入している。

施工はアーティストの方々とGROUPの協働で行われた。アーティストがもっているものをつくる確かな技術と経験が、木材や金属の繊細な加工など、適材適所で生かされた。受動的に状況に巻き込まれながらも、同時に現場にあるすべての材料=可能性を設計や施工に意識的に巻き込んでいくことで、今回の改修はひとまず完了した。

今後「新宿ホワイトハウス」は「WHITEHOUSE」という枠組みで、展示やパフォーマンスが続けられていく。私たちが関わったささやかな状況の改良が、この場所に引き寄せられたアーティストらによる建物や都市へのアクションを助けながら、きっといつか行われるであろう、次の改修のきっかけになればと考えている。

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photo: yurika kono

 

Garden beside WHITEHOUSE
design and construction: GROUP
construction advisor: Hidetoshi Inanaga
metal working: Shoma Fujimura and "studio HOHO"

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掲載情報
日経アーキテクチュア 2022年1月27日号, 日経BP
architecturephoto →
新建築住宅特集 2021年8月号, 新建築社
CONFORT 2021年8月号, 建築資料研究社
BRUTUS 940号, マガジンハウス